ジュラ方言で「ヴィトン」は「頑固者」を意味する。
ルイ・ヴィトン
原文(出典原語):Vuitton means “stubborn” in the local Jura dialect.
この事実の背景
2021年、メゾン公認の伝記『L’audacieux(果敢なるひと)』出版記念イベントで、LVMH傘下ルイ・ヴィトンの元会長兼CEOマイケル・バークが公言した事実です。WWD(Women’s Wear Daily)誌の記事で報じられています。
フランス東部ジュラ地方の方言(パトワ)で「Vuitton」は「頑固者」「意固地な者」を意味すると、バーク氏は語りました。ルイが生まれたアンシェ村はまさにこのジュラ地方にあり、彼の名字はそこから来ています。
名前は、その人の運命を語ることがあります。ルイ・ヴィトンの場合、「頑固者」という名字は、彼の生涯を驚くほど的確に言い当てていました。
頑固|負けない心の構造
「頑固」と聞くと、悪い印象を持つ人もいるかもしれません。頑固な人は融通が利かない、協調性がない、というイメージです。しかし、ルイ・ヴィトンの生涯を見ていると、別の側面が見えてきます。
14歳で家を飛び出し、2年かけて徒歩でパリへ向かった頑固。17年間、マレシャルの工房で技を磨いた頑固。普仏戦争で工房を失っても数ヶ月で再建した頑固。偽物が出回っても新しい柄を発明し続けた頑固。この一貫した姿勢がなければ、ルイ・ヴィトンというブランドは成立しませんでした。
ジュラ方言の「ヴィトン」は、単なる強情ではなく、「自分の道を折らない者」という意味合いが込められているようです。状況に応じて戦略は変えるが、本質的な志は曲げない。これは「頑固」という日本語の負のニュアンスとは少し違う、フランス山間部の人々が大切にした徳目でした。
この物語から学べること
自分の中にある「頑固」な部分を、恥じる必要はありません。それは折れない心の骨組みです。ただし、手段において頑固であってはいけません。目的において頑固であるべきです。
ルイ・ヴィトンの名字が教えてくれるのは、「頑固さ」の質を見直すこと。何に対して折れないのか、何なら柔軟に変えられるのか。その区別がついている頑固者こそ、世界を動かす力を持ちます。